『バットマンビギンズ』VS『ダークナイト』@flickchart

映画SNSflickchart*1」には、映画を比較する組み合わせ毎に議論ページが用意されている。
そこで「何か『ダークナイト』に関する面白いもん読めないかなぁ」とおもむろに「『ダークナイト』VS『バットマンビギンズ』」のページを開いたら、これは面白い……多分。
英語あんま得意じゃないしね。
で、まぁぶっちゃけ『ダークナイト』を褒める言及は正直見飽きた*2ので、「『バットマンビギンズ』の方が優れている」とした人の意見を訳してみた。訳が怪しいと思ったら各自で訳してくれー。なんせ、「さっきも言ったが、英語は苦手でね」ってなもんで。

■『バットマンビギンズ』派の意見

私は『ダークナイト』や、『ダークナイト』への皆の反応が大嫌いだ。
ジャック・ニコルソンのジョーカーの方が良かったと思うし、あの映画はバットマンにしては暗すぎた。『バットマンビギンズ』は素晴らしい映画であり、恐らくは最も素晴らしいバットマン映画の一つだろう。

個人的には、『バットマンビギンズ』のプロットの方がよかった。
確かにジョーカーはラーズ・アル・グールより優れた悪役だったが、これはジョーカーではなくバットマンの映画のはずだ。『TDK*3』の物語はトゥーフェイスを始めとするあまりに多くのプロットに患わされ、おまけに『ヒート』に似せようとしすぎている。
バットマンを純粋な恐怖として描こうとした『ビギンズ』のやり方が最善だったと思う。

バットマンビギンズ』に一票。私は最近HBOで『ダークナイト』を観賞し、映画館で観た時よりは好印象を抱いた。
しかし、やはりその長さと、トゥーフェイスに至るプロットは問題だったと思う。彼に関してはもっとシンプルにし、詳細は別の映画で描くようにした方がよかった。
また、トゥーフェイスの描写が非難の的とならないのも正直驚きだ。
ダークナイト』はその全編を通して、バットマンの物語にリアルな下地を確立することに――特殊装備がいかに機能するか説明し、彼が傷つく様を描き、彼をリアルな世界に置くことに――注力している。
そこにきて、トゥーフェイスの回転する目玉や露出した顎組織からなる滑稽でアニメじみた描写……私には到底受け入れられない。私にとっては、この映画を蝕む実に実に実に大きなクリストファー・ノーランらの過失だ。
確かに『バットマンビギンズ』の敵役は大して褒められたものではないが、しかし映画全体としては、私にはより良いと思えた。ダークナイトほどの致命的な欠陥もない。

TDK』にはいくつかの優れた要素(撮影技法や、いくつかの優れたシーンなど)があるし、もちろんジョーカーは素晴らしい。しかし、『バットマンビギンズ』の方が良い映画だと思う。より一貫していて、物語や雰囲気もいい。

バットマンビギンズ』、とても素晴らしい。
確かにノーランらとヒース・レジャーの共同努力による『ダークナイト』のジョーカーはバットマン映画史上最高のキャラクターだ。ノーランが観客に衝撃を与えるべく考案した銀行強盗シーンによる導入部やジョーカーがギャングに自己紹介するシーンはいずれも忘れがたい。
……が、『ダークナイト』はジョーカーを持ち上げようとするあまり、『ビギンズ』に比べて相当に流れが悪くなっている。ペース配分や編集も悪く、ハービー・デントのトゥーフェイスへの変遷に顕著なようにそれが映画の展開を沈滞させている。個々のシーンは素晴らしいが、それらが矢継早に繰り広げられているだけで素晴らしい映画とはなっていない。
一方『バットマンビギンズ』は実に上手くペース配分されており、スリル・キャラクター形成、プロット配分ともに程よい。
まとめると、「『バットマンビギンズ』=優れた監督が彼の強みを生かした素晴らしい映画」、「『ダークナイト』=記憶に残る映画的瞬間(IMAXカメラは素晴らしい働きをした)の詰め合わせで表現された、ジョーカーという素晴らしいキャラクター」だ。もちろん評価はあなたがこのジャンルになにを求めているかによるし、『ダークナイト』は単なる娯楽映画で終わってはいないが、『バットマンビギンズ』の方が間違いなく優れた映画だ。これが、いずれも10回以上観た私の意見だ。

私はなぜクリストファー・ノーランの『ダークナイト』が「素晴らしい映画だ」などと言われているのか、皆に説明を求めたい。
確かに概ね良くできた「夏の超大作」だし、『インデペンデンスデイ』などと比べればマシではあるが、大ポカと非論理的なプロットの穴ばかりで素晴らしいなどとはとても言えない。
物語だけを見れば、基になったであろう殆どのコミックよりこんがらがっている。この映画が「大好きだ」と言うだけなら大いに結構だが、具体的に論証もできないことは言うもんじゃない。『ダークナイト』に傑出した点など何一つない。

ワオ、誰だよ『バットマンビギンズ』と『ダークナイト』を比較しろなんて言うやつは! 私は『バットマンビギンズ』を選ぶよ。

TDK』の重いテーマや深さ、モラルを欠いたエンディングは、私に苦い後味を残した。
人々はヒーローを求める一方で真実を扱うことができず、そのためにバットマンは不当な迫害を受けねばならない……なんて責任回避だ。ましてそれを、罪なき市民と犯罪者が共に大量殺人に与さず、結果的にジョーカーを阻み彼ら自身を救ったあとに見せるなんて。
人々は難問に取り組み、誘惑にも駆られ、しかし最後には英雄的な行動を選択できた――それらはシニカルに切り捨てられた。
TDK』は、「誰もが偽のヒーローや身代わりではなく本物のヒーローになり得る」と考える人々の横っ面を平手打ちして終わる。
TDK』のラストは(実のところ)「人々は満足させねばならない」と主張するが、真実は「人々には知らせねばならない」だろう。
だから、私は『バットマンビギンズ』を選ぶ。

バットマンビギンズ』の方がいい。この「始まりの物語」の方がずっと分かりやすい

これらの映画はそれぞれ異なる強みを持ち、異なるものとして完成した。この2作からいずれかを選ぶことは何より難しい。
だが、「どちらも『バットマン』映画だ」と考えれば、簡単に決められるだろう。

ダークナイト』の方がより多くの観客を掴んだが、私は『バットマンビギンズ』の方が明らかに優れた映画だと思う。
バットマンキャラにまつわる私のお気に入りのコミック(フランク・ミラージェフ・ローブグラント・モリソンの作品を参照)と同じく、『ビギンズ』の主な内容は作品の最重要人物である、ブルース・ウェイン/バットマンを掘り下げることにある。そして『ビギンズ』はそうしたテーマを、より良く、かつ重くならずに描いてみせた。
率直に言って『ダークナイト』のプロットはあまりにこんがらがっているし、物語の大枠はとんでもない偶然の下に成り立っている。注意して観れば、「なんでこいつがこんなことを知ってて、こんな行動ができるんだ」としばしば疑問に思うはずだ。特に最後の45分間は、トゥーフェイスのプロットやジョーカー戦の演出を見てもひどいものだ。
『ビギンズ』は大好きなヒーロー映画で、『ダークナイト』は壮観だが欠陥があり、前作に劣る。

『ビギンズ』の方がよい映画だと感じられる。物語はよく書けているし、『ダークナイト』よりもずっと緻密だ。
もちろんどちらもよくできているが、『DK』は話が様々な方向に散らばりすぎていると思う。2、3度ほど観たし、大好きではあるんだけどね。

TDK』は本当に良い映画だし、『BB』も同じくらい良いが、私にとっては『BB』の方がよい映画だった。
バットマン映画の第一弾として彼の起源を説明する……大事だ。レジャーのジョーカーは私がこれまでに見た中で最も素晴らしい悪役だが、リーアム・ニーソンの演技はあまりに過小評価されてはいないか。際どいところだが、私は『バットマンビギンズ』を選ぶ。

■もう疲れたよ……

だって俺超『ダークナイト』派だぜー? 『ビギンズ』なんてブルースがバットマン装備揃えだした辺りからしか観ないもんよ。こんなんアンチがやれよアンチがー。
……とは言ってみたものの、わざわざ『ダークナイト』に関する行動を起こす*4人間に『ダークナイト』嫌いなんていねーよなー、とも思うわけで、また気が向いたら続ける。

■余談

ヒートとの比較はコメント2件しかなかったよ……ksg。

ダークナイト 特別版 [DVD]

ダークナイト 特別版 [DVD]

バットマン ビギンズ 特別版 [DVD]

バットマン ビギンズ 特別版 [DVD]

*1:無数の映画を1対1で比較し、その情報によって繋がるSNS

*2:いや、読んでみれば良い発見もあるのかも知れないけど。

*3:原文ではThe TDKだった。ネイティブェ……。

*4:エントリ1個2個書くとかじゃなくてね