長い腕 / 川崎草志

大分前に読んだ感想だけど。

長い腕 (角川文庫)

長い腕 (角川文庫)

あんまり書くことが多くない。
作者がゲーム開発会社の社員だけあってということか、序盤のゲーム開発に関する描写が実に詳細で、具体的なノウハウまで詳細に書かれてあって、そこだけで面白い。最終的な感想を踏まえるとそこだけが面白いと言うべきか。実際に開発して没になったゲームに関するノンフィクションなんじゃないかと思ってしまうレベルで、それだけに「あれ、このゲームあんまり面白くなさそうだぞ」とか考えてしまう。……いや、面白くなさそうだよね実際。
が、ミステリとしての本編が始まってしまうと、内容は旧態依然とした「古いシキタリの残る辺鄙な村」が舞台のミステリで、インターネットがどうこういうのは些細な意匠に過ぎない。ので、本編は退屈そのもの。ゲーム開発物語だけで仕上げた方がよかったんじゃないか。
人物設定が微妙に漫画がかってるのも面白いと言えば面白いけど、敢えてこの小説を選ぶ理由は序盤のゲーム開発シーンにしかない。