ダブル / 深町秋生

ダークナイト繋がりで。最近読了。

ダブル

ダブル

深町氏がダークナイトを意識して書いた小説とのことで読んでみた。凄く簡単に書くと、

主人公はある犯罪組織に属していた男、刈田。在籍時に不始末を犯した弟を殺すよう言われ、自分では殺せずに逃走した。瀕死で逃げ延びたところを、その組織の撲滅に燃える刑事たちに救われ、別人として生まれ変わって組織内部に潜り込むよう言われる。刈田は、組織トップの神宮への尽きない畏怖、自分も神宮と同じく殺戮の中にしか生きられない人間ではないかという不安、弟への負い目などを抱えながら、組織での信頼獲得と不在となっている神宮の捜索に当たる……。

的な話。犯罪組織を取り巻く状況の描写が詳細で、それらの動向と主人公の行動や葛藤で進む物語が、飾り気がないながらもダイナミックで楽しく読める。色々凄惨なことが起きるけどね。
主人公の表面的な目的は神宮への復讐を遂げる事だが、物語の焦点はむしろ、それ以外に抱えていたものとの決着にある。最後、それらを抱えたまま神宮との決着だけ終えてしまった刈田はどうするのか……。
ちなみに、割とダークナイトまんまなシーンもあってそこはそこでオモロイす。