インクレディブル・ハルク(The Incredible Hulk)(2008)

【080/100】DVD観賞

兵士強化実験の失敗により、心拍が上がりすぎると緑色の巨人になって暴走してしまう体質となった科学者・ブルース*1のお話。バットマンビギンズのように初っ端から異国情緒溢れるブラジルが舞台となるが、理由が軍からの逃亡なのであちらと違って違和感はない。
「心拍数を上げすぎてはいけない」という前フリのおかげで職場仲間との諍いや軍からの逃亡も5割増しくらいで緊張感溢れるものとなり、心拍の上昇が避けられなくなると今度は「あれ、でもどこまで上がったらいけないの?」となって次の展開まで焦らされることになる。そして、心拍数があのあまりにキリのいい閾値を越えた時、ついに巨人が現れ、狭い工場?に逃げ込んだ甲斐のある隠れたり壊したりの大迫力アクションが楽しめる。
そこからは、かねてから並行して描写されていた体質解消のための研究の進展を求めて舞台がアメリカに移り、かつての恋人・ベティとの再会、軍からの逃亡などが絡んで話が進むことになる。
基本的にテンポがいい。原作からそうなのかは知らないけど、ストレスフルな人物が少ないのも一因かと思う。ブルースはさくさく決断するし、ベティは新しい恋人を作ってたけどブルースを見るやあっさり元鞘する上に包容力も行動力も抜群だし、その新恋人とも全然三角関係的なことにならないし、メインでブルースと戦う軍人のエミルは清々しいまでの戦闘狂だし人間体時の怪物化ブルースとの戦いはむしろこちらを応援したくなる活躍ぶりだった。例外と言えばベティの親父くらいのもんだが、こいつは軍側の狂言回しにすぎない。
というわけで割と楽しめる映画なんだけど、最後の戦いとかで気になることもあった。
まず、怪物化ブルース・ハルクの、最後の戦いにおける漫画じみた活躍。いや、元々漫画なんだけど、それまでは超怪力の巨大な人間として、まあ可能そうに見えなくもないという感じの戦い方をしていたのに、最後の戦いで急に燃え盛る炎を手をパンと打ち合わせた風圧で消火したり、唐突に「ハルク、スマーッシュ!」などと意味不明な供述じゃなかった必殺技名を叫んだりしだす。後者とかどこのティロ・フィナーレだよksg。多分原作とかであった演出なんじゃないかと思うけど、あれで原作ファンは喜んだんだろうか。俺は褪めた。
次に、そもそものハルクだ。感想書くに当たって調べて初めて知ったけど、この映画2008年公開なんだね。びっくりしたよ、2008年公開の映画のCGがこの程度なことに。ハルク初登場時からその身体も細かい動きもいちいちCG然としていて、暴れっぷりを楽しむのにいくつかリアリティに対する目を閉じなければいけなかった。実に残念。とはいえ、そこに慣れてしまえば、中途半端な大きさ故の絶妙にリアリティある暴れっぷりはツボでツボで、ヒーローというか怪獣映画として良い出来という感じだった。
あとは、人物の体格。気のせいかも知れないけど、ベティの方がブルースよりゴツくなかった? あと、ブルースの方がエミルよりゴツくなかった? 気になって気になって仕方なかった。特にエミル。いくら「衰えてきている軍人」って設定だからって現場で戦う兵士が、しかも精鋭なのにあれは酷い*2
楽しむところは楽しんだけど、その辺で乗りきれず。

*1:またブルースか!

*2:いや、現実の現場で戦う軍人がどうかは知らんけどね。