キック・アス……これだから吹替はダメなんだ

キック・アス DVD

キック・アス DVD

前回の感想では半分以上を不満点に使ってしまったけど、85点つけてる通り良い映画だとは思う。
で、そのキックアスだけど、ダークナイトがそうであるように、よほど字幕に抵抗があるのでなければ英語音声で観た方がいい。
というのも、俺が一番大好きなあのシーンが、吹替だとその魅力を大幅にスポイルされているから。

↑一番大好きなシーン
さて、このシーン、The ProdigyのOmenという格好良い曲をBGMにキックアスがガムシャラな格闘を繰り広げるわけだけど、カットや展開全体が楽曲と一体になっているのが効いてて実に熱い場面になっている。そして、このシーンでさりげに重要なのが、最初にキックアスを見つけた外野少年によるFuckin' awesome!!!の台詞だ。
観れば分かる。
格闘シーンでないカフェ(?)店内のシーンに切り替わると同時に、BGMも一度クールダウンする。
そして、少年が「Fuckin' awesome!!!」と叫ぶと同時、BGMは盛り上がり、客達も動き出す。
少年の叫びとBGMの連動は、キックアスのグダグダ乱闘を英雄的行為として承認する演出になっているわけだけど、この叫びがOmenという楽曲に予め組み込まれていたシャウトなんじゃないかと思うほどガッチリとハマっている。腹の底から出た声であり、響きもよくタイミングも完璧。次の瞬間の楽曲の盛り上がり、シーンの盛り上がりを演出する見事な演出になっている。
それが吹替では、まず声優が脇役らしいヒョロッとした声の誰かしらであり、台詞の「マジすげーよ!」も台詞として何の煽りにもなっていない上に声も上っ面で響きも悪い。
元音声ではBGMと一体となり音響演出の一部として機能しているいわばキメの台詞が、吹替では唯の脇役の状況説明と化してしまっている。
こんなの観てられるか。俺はそっと音声を英語に切り替えた。
というわけで、このシーンただ1箇所をもって俺は英語音声での観賞をオススメする次第であります、まる。