K-20 怪人二十面相・伝(2008)

【045/100】DVD観賞。ややうろ覚え。

K-20 怪人二十面相・伝 通常版 [DVD]

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K-20 怪人二十面相・伝 豪華版 [DVD]

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第二次世界大戦が回避され、カーストじみた身分制度が存在する架空の1949年日本を舞台に、怪人二十面相の罠にかかり替え玉にされた軽業師の遠藤平吉が、汚名を晴らし本物の怪人二十面相を捕えるべく立ち上がる話。
うわぁセット臭ぇ、うわぁCG臭ぇ、と思わされる場面は多いけど、「スチームパンク的」と評される架空の日本の雰囲気作りはなかなか。
この映画で怪人二十面相は優れた身体能力と古くから伝わる泥棒技術を持っていて、怪人二十面相を捕えるために主人公の平吉も同じ技術を身に付けることになる、ということで、アクションが一つの売りになっている。複雑な街の地形を縦横無尽に走りぬけるパルクールと、その補助になるバットマン的な鉤縄射出装置がそのポイントだ。ただ、パルクールについては、舞台設定が災いしたか、全体の地形が把握できるほど広く地形を捉えたショットの中での披露シーンがないため「物凄いとこ走ってる」感はイマイチ。鉤縄が出てくるといよいよフェードアウトしてしまう。また、最後の怪人二十面相との対決では、怪人二十面相から逃げているはずなのに怪人二十面相が飛び移りやすそうな場所に移動するなど、動きそのものはともかくアクションの組み立てもイマイチで首を傾げることも。
組み立てがイマイチなのは物語もそう。やたらと不快な印象を残す軍憲*1による平吉への暴力描写は、結局その後軍憲の存在感が薄れていくために何のためにやったか分からないし、ギャグとシリアスの使い分けも微妙で全体の雰囲気が中途半端なものになっているし、登場人物も物語の都合で急に感情がコロコロ変わるため一貫性を感じられない。怪人二十面相も目論見はともかくどんな存在かよく分からないままだったし、松たか子演じるヒロインが下層の民の暮らしを知るシーンなんかは特に最悪。
何より、金城武仲村トオル松たか子ら主要三人が揃って大根なのが痛すぎる。最後の決め台詞も酷い棒だけど最後だしあれがこの役者の限界なんだろうか。
怪人二十面相の替え玉にされる、潔白を証明するために同じ技術を身に付けて対決する、怪人二十面相の正体、そして結末など、シナリオの大筋の大筋は面白いものだし、アクションもそれほど悪くないので、もっとまともに完成させてほしかった。ダークナイトと同じ年に公開された日本のアクション映画がこれかよと思うとちょっとゲンナリ気分。
ただし
主人公が棒演技で最後の台詞を言い切り、終劇した後、この映画は急に神映画に化ける
なぜなら、スタッフロールで流れる主題歌がOasisの"The Shock Of The Lightning"だから。
これは卑怯だわ。あのパワーコードがりがり言わせてるイントロ入った瞬間から映画の記憶が急激に美化され始めたもんよ。Oasis最後の神曲がこんなところで使われてたのかよと思うと落涙を禁じえない面もないではないけど、映画館で観てたらとりあえずよく分からない満足感に満たされて帰路についたであろうことは想像に難くない。音楽の力って凄い。でも、この曲に騙されてアルバム買ったら後悔するから注意。
というわけで、観賞の機会がありましたら、是非スタッフロールまで忘れずに。
ディグ・アウト・ユア・ソウル(初回生産限定盤)(DVD付)

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ショック・オブ・ザ・ライトニング

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*1:警察みたいなもん。