No.10

ストローブ=ユイレは、絵画や演劇などの高度な芸術的な表現を取り入れているゆえに肯定されるべきではない。サム・ライミが低俗なアメコミを題材とした映画を撮っているゆえに否定されるべきではない。その逆もまた然り。ストローブ=ユイレの作品が鼻持ちならない高尚なインテリ向けの映画だというゆえに否定されるべきではない。サム・ライミの映画が肩肘張らないですむ優れた娯楽だというゆえに肯定されるべきではない。
 
ストローブ=ユイレだろうがサム・ライミだろうが、全く同一の基準で価値判断を下すことはできるし、むしろ積極的にそうするべきなのだ。
 
――ダーレン・アロノフスキー『レスラー』と、映像の「正しさ」について
http://d.hatena.ne.jp/HowardHoax/20110906

エンターテインメントと呼ばれるジャンルの評価行為にまつわる「客観的な評価なんてありえない」とかいう逃げの言葉*1にウンザリしつつも、じゃあどうすればそんな事ができるようになるのか。まぁホンットーに厳密な意味での客観はともかく、limitを追うならそれは積み上げた知識や経験の頂上にしかないんだろう。
引用した段落の文言自体は言おうと思えば誰でも言える事だけど、「そこにどんだけの裏づけがあるのか」を問題にする時、このエントリの内容はまさにその積み上げられた知識や経験の一端で、この言葉はその頂上に配されている。そういう意味では、エントリ全体を引用するべきかと思うけど、さすがに長ぇ。
……って、どっかで見たURLだと思ったらこの人かい。
まぁ余計なことは蒸し返さんとこう。今エントリは興味深く拝読させていただきました*2

*1:まぁこのブログはこのブログで「評価」じゃなくて「感想」を謳うという別の意味での大逃げを打ってるわけだけれども。

*2:つーか例のエントリも「原作派の一見解の論理的な表明」としては楽しく拝読させてもらったんだけどね(蒸し返し