映画館で観た数本の映画の短い感想的な

ようやくDVDで観たダークナイトライジングの駄目だしでもやりまくろうかと思ったけど、なんかまとまんないので他に映画館で観たのとまとめて短く書く。

■1. ダークナイトライジング(The Dark Knight Rises)

微妙。
ダークナイトの続編として観ると、市民と囚人の両方に芽生えた良心を守るためのはずのハービー殺しが犯罪者弾圧の免罪符にすり替わっていたり、レイチェルの真意が凄く投げやりに暴露されたりの伏線ワイルドピッチが実にたまらなくアレ。
アクション映画として観ると、ダークナイトと比べて「とりあえず金掛けて撮った動きがよく見えるようにしとけ」って感じで美しい画を見せる気概を感じない映像だったり*1、その割にはどの程度の規模の施設をどう制圧したのかがイマイチ見えない証券取引所襲撃シーンがあったり、警官隊と市民兵(なの?)の乱闘シーンのエキストラの動きがおざなりだったり、これまた残念。
ドラマはと言えばブルースの復活物語は手垢付きすぎな熱血スポ根物で説得力のある描写もなし、セリーナがいつの間にかブルースに惚れてるっぽいのも「え、あのシーンだけで?」って感じだったし、警官隊が暴動鎮圧に立ち上がる姿で何を描きたいのかも見えず、しかもそれがジョンが警察に失望するシーンと並行して描かれる有様。そして市民は何を思ってどこに行ったの。本編の長い時間を割いた革命(笑)を、最初から茶番と明かして何かポジティブな効果があると思ったの。
他の多くの映画を見た時と同じようにDVD鑑賞してみれば「るろ剣以下」の烙印を押して差し支えない出来栄えだったと言わざるを得ない。
よく「ダークナイトが良かったのはジョーカーのお陰」って言われてるけど、他にも結局は「バットマンが変わらない」という物語だからドラマを描くのが苦手でも問題にならなかったとか、(理由は知らんけど)オマージュや演出上の小技に凝ってたお陰で見栄えが良かったとかそういう事情もありそうだなと思った。

■2. アベンジャーズ

3Dは観づらい、以上の感想が出てこない鑑賞体験だった。ただ、恐らくは3D効果のせいで遠景がミニチュアっぽく見えるシーンとかもあったので、俺に特有の問題を抜きにしても「別に3Dはいらないかな」というのが正直なところ。
話自体は寄せ集めヒーロー物として色々気が利いてたし、笑いありシリアスありアクションありで楽しめる映画になってたっぽい雰囲気は感じたよ? 多分ダークナイトライジングよりは面白かった。

■3. るろうに剣心

映画としてはもう一歩という印象ながら、少年漫画原作の実写映画としては十分よくやってくれたと思う。
アクションはBDで改めて観てみると映画館での印象より「ごまかしてる感」が強かったけど、それでも十分見応えのある本格的なアクションと役者の演技やその他諸々で見事に三次元化された緋村剣心を観られたのは、原作ファンとして嬉しい限り。他のキャラの設定オミットや改変は賛否あるけど、剣心っていう軸だけは守ろうという姿勢は良い結果に繋がってたと思う。
気になったのは、道場とか留置場とかのシーンで急にスタジオ撮り(?)っぽい安い画になること。映画館でもここはガッカリだった(予告編の時点で分かってたことだけどね)。

■4. アルゴ

今年映画館で観た唯一の非アクション映画。面白かった。
予告編とかでの印象に比べると「偽映画」要素が薄くて「救出物」要素の濃い映画だったけど、どの国が正しいとも言えない状況下での「それでも自国民は助けよう」という意志の存在感であったり、政治的な背景や思惑が渦巻く重苦しい空気の中「偽映画で救出」っていう作戦内容の際立つ馬鹿らしさ(あくまでも一見ね)であったり、トリビア的なハリウッド描写の中で偽映画にも本気で取り組むプライドに満ちた助っ人らの姿勢であったり、直前まで計画に反対してたのに土壇場で一番の熱演を見せた監督役であったり、その結果として映画っていう娯楽を素晴らしく思う国境を越えた思いが見られた中でも「にも拘らず命を懸けた追いかけっこにならざるを得ない」現状の悲しさ的なアレであったり、地味だけど色々感じ入るところのある映画だったような記憶があるよ!

■5. スカイフォール

一番面白かった。
オープニングはアクションこそ派手な割にイマイチ燃えないものの、初っ端ボンドの鮮烈な登場、短時間で的確に表現される(本作の核である)ボンドとMの関係などアクション以外の見応えがあって引き込まれる。その後も、アクションではなくてドラマの面白さで引っ張っていて、それにつられてアクションもどんどん面白くなっていく好連鎖。ノーカントリーで気持ち悪い悪役だったハビエル・バルデムが違う意味で気色悪く演じた悪役・シルヴァもドラマの中核として物凄い存在感があり、悪役が良い映画は名作って本当なんだなーと思わされる。
惜しむらくは事件の決着がややあっさりしすぎてたことだけど、直後の「ようやくいつもの007になった」ことを示したラストでチャラ……にはなりきってないけど良い締めだったと思う。
凄く不思議なのは、俺全然007観てないのに(新しい方のカジノロワイヤルとゴールドフィンガーだけ)なんで「おお、ようやくいつもの007になった」なんて思ったんだろうってことなんだけど。

■まとめ

というわけで、たった5本! DVDもそんなに観てないしダメダメすなー。
まとめると

という感じ?
ライジング先生にはガッカリですわ。そしてもともと(インセプションダークナイトが好きな割には)期待してなかったノーラン監督には今後も期待することはないのだろうなぁ、まる。

*1:核爆弾をあちこちぶつけながら空輸するシーンとかお笑い番組の一場面にしか見えないよね。