ヒート観た。面白かった。ダークナイトと比べた。

ようやくまともにヒートを観た。2時間50分の長さがまるで気にならない熱い映画だった*1

ダークナイトはヒートなのか問題

で、まぁダークナイト厨としては「これがダークナイト参照元……!」って観点も少なからずあったわけだけど……どうなんだろうね。ミクロな部分で似てる部分は結構あるんよね。それこそニールとハナ*2がコーヒー飲みながら話してる場面とかさ、後に取引を持ちかける相手であるヴァンザント*3の資産げなものを最初に狙う展開とかさ。
ただ、少なくとも言えるのは「ダークナイトを根っこからヒートみたいな映画にしたくて参考にしたんだとしたら、それは失敗してるよな」と。いや、そうかどうかは分からんのだけど。
ヒートについて物凄く大雑把に書くと、犯罪に関して頭の切れる犯罪の天才な上に犯罪仲間思いで喧嘩まで強くてしかも渋格好良いニールという漢が、タイトな状況に身を置きつつもプロの本分と漢の生き様を全うしようとする、的な話の映画になっている。
軽く言えば仕事とプライベートの両立?(違
で、そういう要素はダークナイトにもあって、まぁつまりはバットマンとデントにとってのレイチェルなわけだけど、ぶっちゃけレイチェルとのあれこれってダークナイト作中でそれほど燃え要素として機能してない。前から何度か書いてる通り「描写が足りてない」わけで、「いやバットマンについてはビギンズから観てれば分かるだろ」という声もあるのかも知れんけど、作中しょっぱなでデントと付き合ってる時点で割とリセット気味*4じゃんね。
てか、そもそもバットマンは「レイチェルと仕事ならレイチェル取るわwwwww」的なアレで別に最初から両立に奮闘とかしてないし、デントは何となく両立し続けていけると思っていた……かどうかも分からないままレイチェル亡くして逆ギレ発狂=生き方路線変更するし、前提としてのシチュエーションが似てるだけでキャラ的にも展開的にも全然ヒート的なことになってない。
ヒートで言えばニールとハナの関係になると思われるバットマンとジョーカーの関係にしても、ジョーカーを文字通りジョーカー的な存在として描いているだけに、バットマンの描写が足りないのを考慮してもあまりに非対称的。
根本的に似せる気はなかったと考えた方がよさげ。

ダークナイトのどこがヒートなのか問題

となると、ダークナイトはヒートの根っこはそれほど参照してなくて、似ているのはミクロな点だけということになるわけだけど。
「ミクロな点」には、前述した点のほかにも、例えば犯行シーンの山場に車を車の横っ腹にぶつける画を持ってくるだとか、銃で撃ってくる相手に車両で突っ込んでいくシーン*5だとか、プラチナ(だっけ?)を盗みに入るシーンのドリルとか銀行の奥に入るシーンとか…………まだあったけど忘れた。
で、ノーラン監督のバットマン以外の作品はよく覚えてなくて、一番記憶に残ってるメメントですら面白かったかどうかすら分からない有様なのでただの憶測になるけど、監督はひょっとして犯罪映画的なものの見せ場にどんなシーンを持ってくればいいか、という点でヒートを参考にしたんじゃなかろうか。
ビギンズの何だかんだ言ってヒーロー映画然としていた作風を完全に捨て去って、ダークナイトを犯罪映画寄りにしてまで描きたかったもの自体は確かにあったはず。ただ、そのための「手段」となる犯罪映画的なるものに関するノウハウをノーランは持っていなかった*6。そこで、ヒートから必要なものを拝借し、体裁に利用した。
サンプリング発想すなぁ*7

■実際のところ、

ダークナイトはどっちかというとパトレイバー2に似てるんじゃないかと思うのね。それはまた別の話。

*1:2回観たけど、最初流し観した時の印象やややアレだった。やっぱ映画は腰据えて観ないとダメだ、少なくとも俺は。

*2:姓と名がゴッチャになってる気がするけど、もうこれで馴染んだからしょうがない。

*3:だっけ?

*4:まぁビギンズからのリセット自体は意図的なものだろうってのは前書いたけど。

*5:ダークナイトのあれは89年バットマンのオマージュでもあるわけだけど。

*6:前述の通りただの憶測。

*7:※憶測です。