ダークナイトはバットマン・ビギンズ要らず
映画ダークナイトは、クリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズの第二弾であり、当然、第一弾であるバットマン・ビギンズの続編だ。
なので、とりあえずバットマン・ビギンズからの観賞を薦める人が多いけど、俺はそれほどお薦めしない。
理由は3つある。
- バットマン・ビギンズ自体がそんなに面白くない
- バットマン・ビギンズとダークナイトにあまり連続性がない
- 必要な情報はダークナイトだけで大体分かる
1. バットマン・ビギンズ自体がそんなに面白くない
まあ完全に趣味の問題だけど、やっぱビギンズはダークナイトの前哨戦として観るには面白くないし、単独で薦めるほど面白くもないと思う。
2. バットマン・ビギンズとダークナイトにあまり連続性がない
色んな面で。
ビギンズのゴッサム市は近未来感とゴシック調が歪に同居する都市だったけど、ダークナイトでは完全に現代のニューヨークかどっかだ。
ビギンズのバットマンは戦闘中も頻繁に空を飛び蝙蝠を操ったりもするが、ダークナイトのバットマンが飛ぶのは戦闘開始の狼煙にすぎず、蝙蝠を操るギミックもなくなった。
親を殺された話も出てこない。バットケイブも出てこない。ラーズ・アル・グールも影の同盟も出てこない。レイチェルは役者変わった。スケアクロウはビギンズでの扱いが信じられないほどの端役だ。
ダークナイトを観る上で、ビギンズを観ることで得られることは多くない。
3. 必要な情報はダークナイトだけで大体分かる
これが一番でかい。
最初に登場するのはジョーカーだ。前作で一応存在を仄めかしてはいたものの、どんな人物かは今作が初披露となる。そして、銀行強盗シーンが終わる頃には必要なことは全て分かる。大胆かつスマートな犯罪計画にロクでもない遊びを盛り込み、味方を平気で使い捨て、自分の命も危険に曝す恐るべき愉快犯だ。
じゃあバットマンはどうか。市長のインタビューから初戦闘を終えるまでに次のことが分かる。
- 市の方針としては表向きバットマン逮捕を目指している
- 警察はそれほど逮捕に乗り気ではない
- 蝙蝠印の投光照明はバットマン登場の印
- バットマンは犯罪者に広く恐れられている
- 投光照明は警察が所持している
- ゴードン刑事は特にバットマンと親しい
- 偽者が現れていて、やはり犯罪者と戦っている
- 謎のハイテク車を使う
- 一般市民の車を踏み散らかしても気にしない
- 威嚇射撃はする
- でも直接射撃は味方でも許さない≒非殺を掲げている
- 格闘が超強い、てか強い
更に、ラウ捕縛までに以下が分かる
- 神出鬼没を演出するのが好き
- 警察と協力してマフィア掃討に当たっている
- ジョーカーの存在は把握しているが軽く見ている
- 正体は金持ちの男
- 市の平和に目を光らせている
- レイチェルという付き合いの長い知り合いの女性がいる
- 昼間は会社で重役っぽいことをしている
- 装備はフォックスに作ってもらっている
- ゴードンなどから仕事を依頼されることがある
- 神出鬼没を演出するのが好き
- 金持ちとしての力をバットマン活動に用いる
- アリバイ作りを必要としている
- 犯罪者を捕えるためなら犯罪者でも使う
- 色々トンデモ装備を持っている
- 空飛ぶ
他に、何か必要な情報があるだろうか。ブルース・ウェインがバットマンになった理由は分からないが、例えば探偵もので主人公がなぜ探偵になったか分からない作品が多いことを思えば、大した問題ではない。実際作中でもあまり問題にならない。
続編としてのタイトルを掲げなかったダークナイトは、事実単独でもバットマンについて十分な情報が得られるようになっている。別にビギンズから薦める必要ないよね。