ダークナイトの感想〜バットマン萌え編〜

なんかそれっぽいこと書いてみたけど、ダークナイトが俺を最初に掴んだのはそんなところじゃねー。
バットマンが特撮ヒーローとして最高すぎるんじゃ!
というわけで、正直にそこをぶちまけてみる。

■ヤク取引ぶち壊し編:中途半端に強い

マフィアと戦う偽バットマン達のピンチに割り込むのが、本作でのバットマンの初登場となる。
銃を使い、犬に噛み付かれて何もできず、目潰しにのたうち回る偽バットマン達。
そこにバットモービルが壁と一般市民の車を蹴散らして現れ、威嚇射撃で大爆発を引き起こす。やった! 本物は役者が違うぜ!
その後、実はモービルには乗ってなかったバットマンは手始めに偽バットマンの持つ銃を捻じ曲げて無効化する。
うぃ〜ん、と機械音を立てて。
どうやら、銃を捻じ曲げるほどの怪力はバットマン自身が持っているわけではなく、何しか装備の賜物であるらしい。お、おぅ……。
その後、ようやくマフィアに向かうと、地に足付いた空手じみた格闘戦で次々とマフィアをのしていく。じ、地味や……。
犬に噛まれる偽バットマンを助けると犬のヘイトが上昇し、噛みつかれて押し倒され呻く。よ、弱ぇ……。
逃げようとするマフィアの車に飛びつくも、中に押し入る前に壁に押し付けられ取り逃がしてしまう。し、失敗……?
と思ったら、螺旋状の道を下って逃げる車を待ち伏せ、上から飛び降りて車を押し潰し捕まえる。おおー、かっけー!
と、ここまでに見せられたバットマンの姿の全てが、俺は好き好きで仕方ないんよ><
ギリギリのところで人間離れしていないけど、きっちりヒーローとして場を制してみせたバットマンの中途半端な強さに、リアリティを感じるわけです。

■スーツ改良編:痛いものは痛い

自宅に戻ったバットマンブルース・ウェインは、バットスーツの不満を漏らす。曰く「重くて動けない」「首が回らなくてバックが難しい」「犬に噛まれると痛い」……。メンタル面フィジカル面でやたらと軟弱なヒーローだ。これは素晴らしい。
ダークナイトには、父性的なキャラとしてアルフレッドとフォックスが登場するが、アルフレッドには「犬に噛まれて痛かった」と言っても「は?」と流され、フォックスにはスーツを更にナイフ≒動物の牙に弱くされた挙句「犬には強いの?」との質問を「猫には強いよ」と笑われる。この無理解、まさしく父性である。
飛び出すバットラングをうっかり発動させて「説明書読めよ……」と窘められたり、とことん道具に依存するヒーローであることが表現される。最高っす。

■ラウ奪還編:汚名返上、飛べバットマン

散々こじんまりしたヒーローだと表現され続けたバットマンにチャンスが訪れる。マフィアの金を一手に引き受けた中国人資本家のラウが中国に帰ってしまったのだ。
街を守る普通の正義であるデントとゴードンの懇願に、バットマンはラウ奪還を二つ返事で約束して姿を消した。かっけえ。
そして作戦パート。バットマン=ブルースが大まかな計画を練り、必要なものはアルフレッドとフォックスが揃える。監督主演って感じだろうか。密輸業者の操縦する飛行機で人知れず中国入りし、飛行中の飛行機に飛び乗って帰る、計画の大筋が決まった。
そして決行。バットマンは高層ビルのラウがいる部屋の窓ガラスにいくつかの爆弾(爆破ジェルは「粘着質のジェルによって任意の箇所に遠隔設置できる時限爆弾」という形でリアル化されている)を撃ち込むと、マントを広げて……
飛んだ!
これまで散々リアルなヒーローやってたバットマンが、ここにきてマントで風を切って飛んだ! どこのコミックヒーローだよ! DCコミックのだよ!
獲物に飛び込む鳥のようにマントを畳んで速度をつけると窓ガラスに飛び込んで侵入、マフィア戦で見せたあの地味な格闘でお付きの者を次々とノして、ラウを確保。そして謎のロープ付風船を空に飛ばすと、どこからともなく現れた飛行機に風船がひっつき、ロープで引っ張られてバットマンとラウは空に消えた。
リアル世界でのリアルなバットマンで世界観を提示しつつ、一度は漫画じみた活躍を見せておく素敵展開。ごちそうさまでした><

VSジョーカー編@パーティ会場:声がセクシー!

ブルースが開いたデント応援パーティにジョーカーが乱入する。ブルースは予めデントを匿うと、ジョーカーの目を盗んでバットスーツに身を包む。そして照明のせいか心持ち頬が垂れて見えるヒロイン・レイチェルのピンチに、

(レイチェルパンチ……キックだっけ?)
ジョーカー「おふっ……アヒャヒャヒャw 威勢がいいなぁ、気に入ったぜw」
バットマン「なら俺も好きだろう」
(バットパンチ)

と小粋な台詞をものすんごくドスの効いた声で喋りながら登場。
その後、例によって地味な格闘と、横っ面を殴られただけで膝をついた挙句ジョーカーに仕込みナイフで蹴られて悶絶するも辛うじて撃退する中途半端な強さを披露した後、レイチェルを人質に取られ、

バ「銃を捨てろ」
ジ「お前がマスクを脱いだらなw」
(ジョーカー、窓を割ってレイチェルを落とす素振りを見せる)
バ「彼女を放せ」
ジ「そりゃまずいだろw」
(ジョーカー、レイチェルを放す。落ちるレイチェル)

となるわけだけど、何にせよバットマンのこの二言の格好いいこと! これは思わず口真似するレベル。

■最終決戦編:ソナーカメラやべぇ&ピタゴラスイッチ

一度は捕まえたものの取り逃がしたジョーカーを再び捕えるべく、バットマンは新装備を完成させる。
ラウ奪還時に使った、ソナーの原理で遠くの空間を立体的に把握するシステムを、盗聴設備に組み合わせることで街中の携帯電話その他に適用し、街全体を立体的に把握・監視する大規模ソナーシステム。
あまりの倫理無視っぷりに流石のフォックスも閉口するも、「だってこれがないとジョーカー捕まえられないんだもん」と譲らないバットマンに「今回だけですよ」と渋々使用を承諾。
で、しばらくはフォックスがソナーシステムで情報を得てバットマンに伝えるという形で運用していたものの、ジョーカー一味のいるビルが夜中で真っ暗だったため、ソナーシステムの映像をバットスーツのカメラに寄越すよう要求。バットマンは一時的に、あらゆる壁を見通すソナーカメラ機能を得る。
このソナーカメラ映像がクソかっけえ!!!!
そして、ソナーカメラによってビルの形状・ビルにいる人質・ジョーカー一味・突入するSWATの全てを把握したバットマンは「SWATが誤って人質を殺し、ジョーカー一味に殺される」事態を回避するために、ピタゴラスイッチじみた奔走を始める。これも楽しい。次から次へと立ちまくるSWATと人質の死亡フラグを忙しなくも巧みにへし折りまくるバットマン
SWATが状況を正確に把握し、自力でジョーカー一味を拿捕できるようになった頃、バットマンはジョーカーの元へ向かう。
犬と一緒に待ち構えているジョーカー VS 対犬死亡フラグが立っているバットマン
けしかけられた犬の一体を殴り飛ばすも(あれ、犬は殺すんだ……)、残る2匹に噛みつかれて転倒。その隙にジョーカーに鉄パイプで殴りかかられ、悲鳴を上げる(上げてたよね……)バットマン。邪魔なジョーカーを何とか引きはがし、冷静になって犬を倒すも、朦朧としているうちにまたジョーカーに殴られて転倒。改めて引きはがすも今度は殴られすぎでソナーカメラが故障し、視界が消失。またも隙を突かれて取り押さえられるバットマン。最後まで中途半端な強さだった……。
犬さえいなければ負けてたろうというエクスキューズを残しつつバットマンとの格闘戦に勝利したジョーカーだったが、続く市民への「実験」に失敗し顔面ブルーマン。この展開と主人公補正で勝利フラグの立ったバットマン

ジ「この傷の話は知ってるか?ww」
バ「知るか、だがこの傷の事なら知ってるぞ」
(仕込みバットラングでジョーカーを撃ち、怯んだ隙に地面へと投げ落とす――が、その足にロープを撃ち込み引き上げる)

逆転される。

■雑感

「強い人間」としてのリアルな強さ、特殊装備を背景にした漫画じみた活躍。俺にとってダークナイトは、そのバランスがとっても魅力的な映画なんよな。特撮ヒーロー好きで、それがリアルに描かれてると涎が垂れるような人は観るとよいよー。
水戸黄門と格さん助さんバリに無傷で圧勝しないとヤダヤダって人は上記の通り観ない方がいいよ。