今更ながら、ダークナイトの後日談"The Joker Blogs"

元の映画は公開2年上前だし、こいつだって1年以上前の公開だけど、仕方ないじゃない最近知ったんだから、的に紹介とか感想とか。

■とりあえずブツを


連作なので、こちらのプレイリストから観るとよいかも。

■内容

2008年公開のバットマン映画「ダークナイト(The Dark Knight)」のラストでバットマンにとっ捕まり、アーカム精神病院送りだと告げられた天才犯罪者・ジョーカー。
The Joker Blogsは、その後のジョーカーを描いた後日談に当たる映像作品で、ファンメイド作品。
序盤はアーカムでのジョーカーの治療風景の記録映像の体になっており、全編通しても単一カメラによる連続撮影映像の体になっている所謂P.O.V.作品。
第1回"Therapy Begins"から第19回"Home Sweet Home"までの全19作品*1

■感想

とりあえずクオリティが凄い。つっても、「ファンメイドとしては」の但し書きが不要とまでは言えないけど、素人のやったことと切って捨てるのはもったいないクオリティ*2の映像になってる。

●1. 割と堂に入ってるジョーカー

ダークナイトのジョーカーと言えば誰だって「ヒース・レジャーじゃないと……」と思うと思うんだけど、The Joker Blogsのジョーカーも大したもの。ヒースジョーカーを下敷きにしたメイクや演技はなかなか堂に入っていて、個人的には腕の毛が濃い以外は見事なジョーカーだったと思う。

●2. 結構話が面白い

第1話がカメラ対面に座ったジョーカーとの対談のみで成立しているため、
「まぁ、確かにこれなら本家じゃなくてもそれなりの作品が撮れるんだろうなぁ」
「でもそんなに面白くもならなさそうだなぁ、タイトルからして"Blogs"だし、淡々とこんな感じの治療風景が続くんかな?」
とか思ったけど、話を進めていくとまぁジョーカーが色々やりだしてかなり面白い。まぁ、それに伴ってやや映像面の粗も出てくるけど。
個人的に好きなのはジョーカーが催眠療法を受ける話。「おいおい、俺達のジョーカー*3を暴こうとすんじゃねーよ、ってかジョーカーもあっさり乗っかってんなよぉ……」とあたふたさせられた数分後、
「ざまぁwwwwwww」と脳内物質駆け巡ること間違いなしの素敵なエピソードになっている。
……ってか、英語あんま分からんし台詞半分も聞きとれてないんだけどねorz

●3. ファンメイドとしてはクオリティ高すぎな映像

前項で「映像面の粗も出てくる」とか書いておいてあれだけど、細かい粗とは裏腹に大まかな映像作りはやっぱり素人離れしてる*4。何せ銃撃戦大爆破である。最初は「治療風景ならロケーションも役者数も小道具も節約できるよな」とか思ってたのに結局は全部大盤振る舞い。

▲1. 原作オマージュにやや寒い場面も。

気になる点も挙げてこう。とりあえず最初に気になったのはここ。今作のジョーカーはヒースではないなりにヒースジョーカーを消化して演じてくれているんだけど、ナース姿でもないのに「ハァイ」とか手品のシーンで「ダラーン!」とか、芸人(ジョーカー)がネタの使い回しってどうかと思うのね。まぁ、逆に言うと、ファンサービスのはずのオマージュが邪魔に思えるほど単一作品として魅力的ってことでもあるんだけど。
あと、ダークナイト本編でも2回出てきた「傷物語(違」も本作では1回登場。ただ、ダークナイトのそれが「この傷の原因になりやがった親父(女房)に対してそうであるように、お前にも殺意を抱いているんだぜ」という脅しの寓話になっていた点が完全にスポイルされてて、唯の傷のお話になってた*5のが残念。オマージュって難しいネ!

▲2. ジョーカーのキャラが大分違う

「さっきから『見事なジョーカーだった』とか書いといて何だよそれ」とか思われそうだけど。今作のジョーカー、演技や所作などミクロな点ではヒースジョーカーを見事に消化している一方で、「じゃあそのジョーカーが何の為に何をするの」という点でダークナイトとかなり別物になっている。気にならない人もいるだろうし、演技は受け入れられてもその点を持って「こんなの(ダークナイトの)ジョーカーじゃねえ!」と思う人もいるだろうと思う。俺は最後まで楽しんだ一方で途中からは後者の思いが拭い切れなかった*6
あんまり具体的に書くとアレなのでぼかして書く。
The Dark Knightのジョーカーは冷徹な悪魔。The Joker Blogsのジョーカーはサイコ。
そのくらい違う。

▲3. バットマンがひょろくて格好悪い

俺の中で、上2つの欠点をぶっちぎってダントツの問題点はここ。といっても関係あるのは19話中2話だけで、しかもこの欠点が出てくるのは前の1話だけなんだけど。
一発撮りだとボロ出易いのかも知れんけど、なぜ気が付いたら横に立ってる演出にしなかったのか! あんな普通に走ってきたら格好悪いって! しかも微妙に細いし! 挙句に一瞬で(r
これ、終盤の大ネタに関わるんで隠せるだけ隠しとくけど、それだけにもっとしっかりやって欲しかった。

■まとめ

というわけで、まぁ手放しで絶賛とはいかないけど、ファンメイドでここまでやられたら面と向かって文句なんて言えないぜ! というレベルの素敵な作品なので、ダークナイトファンだけど観てないって人がいたら、是非!

*1:Official Trailerは、The Dark Knight Risesを自称する悪い意味でのフェイクっぷりが微妙なので観なくていいかと。

*2:てか素人じゃないだろこいつら、知らんけど。

*3:バットマンと同じくらい、ジョーカーの凶行やデントの復讐劇に「ヒーロー」を感じてしまうのもダークナイトの面白さだったよね。

*4:ってか素人じゃn(r

*5:まぁ先述の通り英語が(r

*6:とか言ってても結局は英語が(r